追悼
2020.4.21
追悼 ありがとう、大林宣彦監督
映像の魔術師、大林宣彦監督が亡くなられた。「花筐/HANAGATAMI」公開の折、大阪のTOHOシネマズ梅田で舞台挨拶をされた時、控室にお邪魔して少しの時間お話したのが最後になった。車椅子から立ち上がって握手をしていただき、奥様の恭子さんともども久しぶりの笑顔を見てほっこりしたときのことは忘れられない。おおさかシネマフェスティバルの前身であるおおさか映画祭で一番なじみの映画監督である。1977年の劇場デビュー作「HOUSE/ハウス」は第3回同映画祭ベストテン3位、第8回が「転校生」で2位、第9回が「時をかける少女」、第11回が「さびしんぼう」でそれぞれ第1位に選ばれている。第17回で1位になった「ふたり」を観て、私はその年生まれた次女に石田ひかりさんが演じたヒロインの名前をいただいて命名したのを思い出す。第9回の映画祭では大林監督は直々に新作「廃市」の16ミリフィルムを持って来てもらい特別上映会を行ったことがある。親しかった松田政男さん(今年3月逝去)ら大勢のゲストが大林映画について語り合ったのが懐かしい。大林監督を恩師と慕っていた大森一樹監督ら多くのファンが集ってくれたが、あの時のみんなは今、どうしているだろうか。個人的には仕事で「さびしんぼう」の尾道ロケを取材したときの楽しい時間と、主演女優賞で富田靖子さんが大阪の授賞式に参加してくれた時、大林監督、恭子プロデューサーも一緒に歓談したことも懐かしい思い出である。
遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」に大林映画の素敵なメッセージがいっぱい詰め込まれている。言葉の魔術師でもあった大林監督と映画祭などで長いお付き合いをしていただいて大感謝です。本当に有難うございました。心から御礼を申し上げます。天国で新作準備をしておられる大林監督の笑顔が浮かんでおります。合掌。
令和2年4月21日 実行委員長 高橋聰