閉幕レポートReport

尾野真千子さん、古田新太さんが主演賞で喜びを語る。おおさかシネマフェスティバル、3年ぶりに開催。

おおさかシネマフェスティバル2022
おおさかシネマフェスティバル2022
今年で通算46周年を迎える大阪の映画ファンによる映画まつり、おおさかシネマフェスティバルを、 新型コロナウィルス蔓延拡大による2度の中止を経て、3年ぶりに感染予防対策を行った上で3月6日(日)、 ホテルエルセラーン大阪5階のエルセラーンホールにて開催いたしました。
おおさかシネマフェスティバル2022
午前のワイルドバンチ賞受賞記念『COME & GO カム・アンド・ゴー』の上映に先立ち、高橋聰実行委員長が恒例の挨拶を行い、 3年ぶりの開催でご来場の皆さまへの感謝の気持ちと、映画まつりの思い出をたっぷりと語りました。
おおさかシネマフェスティバル2022
メインイベントとなる午後の表彰式では、現在NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で声の出演中の総合司会、浜村淳さんが、冒頭にかつて映画まつりを訪れたスターたちの思い出を披露し、 冒頭から浜村節全開!受賞者とのインタビューでは映画の伝道師ぶりを発揮し、受賞作のことを中心に、各ゲストの素の顔を引き出すトークで感動と笑いに溢れる表彰式となりました。
おおさかシネマフェスティバル2022
鮮やかな赤いドレスで登場した主演女優賞の尾野真千子さんは、浜村さんが14歳の初主演作『萌の朱雀』からターニングポイントとなる主演作を紐解いていくインタビューに喜んでいただけました。
受賞作の『茜色に焼かれる』は「台本に血が通っていて、生きている感じがし、この世の中に伝えなくてはいけないと思いました。 石井監督が近くで獲物を狩るような目で(演技を)見ていなければ、こんな芝居はしなかったし、気持ちが表に出なかったでしょう」
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ロックなスタイルで登場した主演男優賞の古田新太さんは長い俳優人生の中で、映画の主演男優賞は今回が初めて。
舞台と違って映画は、撮影から出来上がるまでのワクワク感があるという古田さん。受賞作の『空白』では、 娘の事故死の原因となった店長を演じる松坂桃李さんをとことん追い詰めるモンスター父役を演じました。 舞台仕込みの迫力のある芝居と浜村さんから褒められ、「大きな声でしゃべらなければいけないと鍛えられています」。
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初めての本格映画出演で助演女優賞に輝いたのは、バラエティやテレビ、ドラマと活動の幅を広げている大久保佳代子さん。
受賞作の『浜の朝日の嘘つきどもと』はセリフの多さに苦闘したと告白。「50歳になったけど、セリフが覚えられないし、しゃべってもうまく言葉が出てこなくて、役者の仕事は大変だと思いました」。 それでもタナダ監督や主演の高畑充希さんらとの現場は魅力的そうで、 「本当に映画が大好きで、1秒でもいい映画を作りたいという現場にもう一度いたいと思う。女優のお仕事もお待ちしております!」と女優業への意欲も見せていらっしゃいました。
おおさかシネマフェスティバル2022
新人女優賞の片山友希さんは、受賞作『茜色に焼かれる』の居酒屋で、尾野真千子さんと二人で話すシーンは、始まる前からプレッシャーが大きかったとエピソードを披露されました。
浜村さんから歯切れの良い演技との言葉に、「映画が好きなので、こうやって賞をいただけるのはうれしいです」と喜びを語られました。
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もう一人の新人女優賞を受賞した津田晴香さんは地元神戸出身。
初の主演映画となった『まっぱだか』は、安楽涼監督の作品が好きで、監督が舞台挨拶で来場の際に泣きながら感想を伝えたことがきっかけで今回の出演に至ったことを語られました。 「当て書きだったので、自分と向き合う貴重な機会をいただけました」
おおさかシネマフェスティバル2022
そして監督賞では『すばらしき世界』の西川美和監督が登壇されました。
『ディア・ドクター』で作品賞、主演男優賞、『夢売るふたり』で脚本賞と、過去に受賞歴を重ねた西川監督だけに、司会の浜村さんとの息もぴったり。 2015年、当時絶版の小説『身分帳』(佐木隆三)のことを知ったという西川監督は、 「過去に13年刑務所にいた男が出所して当たり前の日常を取り戻すだけの話ですが、当たり前の日常を取り戻すのは難しい。 30年以上前の小説なので、しっかり取材をして脚本を書きました」と昔、服役経験のある人への取材について語られました。 主演、役所広司さんについては、「方言の細かい調整を行い、クランクインまで自分の時間を使ってされる準備がどれだけ大変なのかがわかりますが、 カメラを回せば、そこに主人公が立っていました」とその丁寧な役作りを賞賛されました。

また、主演男優賞の松坂桃李さん、助演男優賞の鈴木亮平さん、 新人男優賞の倉悠貴さん、新人女優賞の駒井蓮さん、作品賞、脚本賞(大江崇允さんと受賞)の濱口竜介監督が動画コメントで受賞の喜びと感謝を寄せてくださいました。

助演男優賞の代理で東映株式会社関西支社長の星野哲さん、日本映画作品賞(『ドライブ・マイ・カー』配給:ビターズ・エンド)の代理で有限会社オフィス・リブラ取締役の山本雅絵さん、 外国映画作品賞(『ノマドランド』配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)の代理で株式会社新通の中西千尋さんが代理登壇され、大ヒット映画の舞台裏をお話しいただきました。

スタッフ部門の受賞者コメントをご紹介します。
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撮影賞:四宮秀俊さん『ドライブ・マイ・カー』
「目の前で役者の芝居を見ながら撮影をするのが好きで、西島(秀俊)さんを撮影できて本当に楽しかった。 濱口監督は、いつも僕の隣で生の芝居を観ているので、撮る方としても心強かったです」
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音楽賞:石橋英子さん『ドライブ・マイ・カー』
「撮影中に音楽を作ることができたので、割と自由に色々なことを試しながら作れました。とても楽しかったです。」
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新人監督賞:春本雄二郎監督『由宇子の天秤』
「映画館を出た後に、映画の中だけではなく、日常に戻った時に我々はどうすればいいか。 日常に起こりうるような、現実に肉薄する映画を作っていきたいと思っています」
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新人監督賞:上西雄大監督『ねばぎば新世界』
「大阪で生まれ育ち、喜びや悲しみ、いろいろな感情をその土地で描いていきたいです。大阪弁でしか表現できない人間がおり、その心を渡せるのは映画しかない。 人と人の間を温かいものがつながっているのが関西人で、喧嘩をしても仲直りできるのです」
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ワイルドバンチ賞『COME & GO カム・アンド・ゴー』リム・カーワイ監督
「『COME & GO カム・アンド・ゴー』は、インバウンドが最盛期のころ、大阪とアジアを行ったり来たりする人々の話。 大阪に住んでいる人も余裕がなく、彼らに関心を向けてこなかったので、この作品を機にもっと関心を向けてほしいですね」